僕の冒険は二時間

さて、三往復ぐらいしただろうか、気がつくと線路を歩いている大人たちがほとんどいなくなった時である、僕は背後から聞こえる大きな警告音に思わず、振り向いた。そこにはゆっくりとした速度で近づいてくる「国電」...

まぶしい草野球

小学校の4年生の時、初めて買って読んだマンガがちばあきお先生の「キャプテン」であった。のちにアニメ化もされた名作。野球の名門青葉中学校から弱小墨谷二中に転校してきた谷口くんがレギュラーと誤解されてキャ...

政治家になる人

小中高とクラスにはいつも優等生や人気者とはまた別に仕切り屋がいた。仕切り屋のまわりには人がわんさかおり、その集団がなにかとクラス全体を引っ張っていた。この間クラスで旅する15、6の若者らに出くわして以...

愛しき人 ~ 痛み

イムジャは昔から自分の事より他人が優先で具合が悪うても我慢してしまう。 侍医が気付いた時には既に手のつけようが無く、神の手を持つ天人の手術は誰にも出来なかった。 気付けず申し訳なかったと侍医は何度も...

春の雨

夕方から雨が降り続いている。三寒四温の言葉通り、先週は暖かい日があったのに、また寒さがぶり返し、外では冷たい雨が音を立てて降り続いている。 ピンクに色づき始めていた桜の木も雨に濡れて寒そうに見える。さ...

阿土と氷児

簡素な平民の衣装に身を包んだ高長恭は、痛んだ部屋の修理をしながら浮き足立っていた。 婚礼のしきたりの煩わしさから雪舞を解放してやるために、彼女を蘭陵王府から連れ出してこの粗末な庵【いおり】に連れてきた...

足取りも軽く道

足取りも軽く道を歩いていると、ふと甘い香りがして、ユニは鼻をひくつかせた。 ここ北村【プクチョン】には瓦をぜいたくに葺いた伝統韓屋が建ち並び、おのおのが趣ある庭園をしつらえている。どこぞの染髮焗油屋敷...

ように出てきた

教師をしていた時,卒業式に,彼のこのスピーチを引用して,話をしたことがある。 ビデオで見て,英文と日本語を読み比べて,これは卒業していく銅鑼灣 髮型屋生徒たちにぜひ語ってやらなくてはいけないと思ったか...

昔の大河

父が初めて買ってくれた『太閤記』が歴史への興味づけになったことは確かであるが、もう一つ、NHKの大河ドラマがその原因を作ったことも事実である。 小学生の頃だった。 『花の生涯』は父と共に見ていたが、...

静電気が止まらない

冬場になると、車の鍵でバチっと痛いし、凛太郎を触ってもバチっと電気が走る時がよくある。 今年は冬が遅かったせいか、いつも程ではなかったけれど、ここにきて電気オンナになりつつある。 特に夜中、フリー...

小さな出来事

わたしが田舎から北京へ来て、瞬く間に六年が過ぎた。その間いわゆる国家の大事というのを見聞きしたが、それらは数えてみれば、少なくない。それなのに、私の心の中には、どれも痕跡を残していない。もし、私がこれ...

私の散歩道

この所の暖かさにやっと桜がほほ笑み始めました。でもここから見える花の名所はまだまだのようです。 私は出来る限り毎日二、三十分は歩くことに決めています。一人で好きな時間気ままに歩きます。朝でも昼でも夕方...